研究概要 |
タンパク質をコードしていないのにも関わらず、ヒト-他種間で非常に高く保存されているDNA配列の機能を調べるため、ヒトとマウスのゲノム配列比較から95%以上の同一性で500bp以上の一致があるnoncoding配列を同定してきた。これまでに合計で611配列を同定することができている。 これらの配列について詳細な情報解析を行った。遺伝子密度が低い領域に多く分布する事、発生や転写に関係する遺伝子の近傍に存在することなどが分かった。 種間の保存性について調べたところ、ほぼすべての保存配列が、ほ乳類全般に存在する事がわかった。大部分は鳥類や両生類にも存在しており、10-20%くらいの配列は魚類でも保存されている事が分かった。しかし、無脊椎動物である、ホヤ2種、ショウジョウバエには相同配列が見つからなかった。 これら保存配列が進化的に重要な機能をもつことが予想されるが、これらの配列が単に変異のcold spotsであるといる仮説を直接反証するデータはない。そこで、マウスにおけるENU誘発変異頻度の測定をおこなった。保存配列における変異頻度は、通常のcoding遺伝子などにおける突然変異頻度と全く変わらなかった。この結果は、これら高度保存noncodingゲノム配列が生物学的機能を持っており、その配列に生じた突然変異は、進化の過程で自然淘汰により集団から取り除かれてきたことを示唆している。 ENUにより変異誘発したメダカ5,771個体のゲノムDNA鋳型としてPCR増幅を行い、その断片の中に突然変異が含まれているかどうかを温度勾配キャピラリ電気泳動法でスクリーニングをおこなった。ヒトから魚類まで保存されている配列のうち、9種類のメダカゲノム配列について、のべ19,444,664bpのスクリーニングをおこなったところ、最終的に46変異を発見することに成功した。
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