研究概要 |
研究成果 1.コンデンシンI、コンデンシンII欠損による染色体構築異常と染色体形態異常との関連 (1)コンデンシンを除去した染色体をパラホルムアルデヒド固定すると、各々のコンデンシンに特異的な欠損表現型が観察される。しかし、染色体異常の臨床検査に用いられているKC1低張とメタノールー酢酸固定による標本では,染色体異常の検出は非常に困難であることが示された。 (2)各コンデンシン除去した細胞に低濃度のチミヂンを長時問処理すると、メタノール-酢酸固定で作成した標本においても、姉妹染色分体早期分離や切断などの染色体異常が観察された。この結果は、コンデンシンの機能欠損がより強調されて現れたものであると考えられ、クロマチンあるいはDNAの構造がなんらかのストレスを受けた状況下での染色体構築と分離においては、コンデンシンの機能の重要性が増すと予想された。 2.遺伝子発現と核内クロマチン構造の構築と維持におけるコンデンシンの役割の検討 細胞遺伝学的手法によりコンデンシン除去細胞におけるリボゾーム遺伝子の活性低下と核小体構造の異形性が観察された。この結果は、核内クロマチンの構築と機能発現においてもコンデンシンが必要であることを示唆する。 3.コンデンシンの機能を制御する因子の分子生物学的検索 酵母Two-hybrid法をもちいてコンデンシンのサブユニットの一つであるCAP-D3と結合する分子を検索したところ、約50個の陽性クローンを得た。この中で、9個については細胞内における反応を反映している可能性が示されたので、今後免疫沈降法などによりその生体内での結合と機能を検索していく予定である。
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