研究概要 |
嶋田は、ボスドク・高橋久尚、技術補佐員・石井弓美子、修士課程院生・堀部直人を指導して、ハエの記憶と学習による適応戦略の研究を行なった。まず、「自動追尾システム」を開発して昆虫の歩行軌跡を自動的に記録した。これは、CCDカメラと録画用Apple社・iMacおよび画像解析専用のDELL社・Dimension9100を組み合わせ、ソフトウェアは石井が統計専門のオープンソースRを使ってプログラミングした。これによって、ハエの餌探索(砂糖水の水滴)の歩行軌跡を正確に取得できるようになった。 まず、イエバエの餌探索には、緩やかなストレート歩行期と、いったん餌に遭遇すると付近を捜すジグザグ歩行期とが交互に現われることが分かった。そして、AR(自己回帰)モデルによる歩行軌跡の時系列解析によって、ストレート歩行期とジグザグ歩行期が混じることによって異常拡散のパターンが発生していることが検出できた。これは、Takahashi, Horibe, Ikegami and Shimadaの共著者でJap.J.Phys.に投稿し、審査中である。 さらに、堀部を指導して、ハエの歩行の要素である速度と方向転換角度を取り込んだ再帰的ニューラルネットを開発した。現実のハエの歩行とニューラルネットの歩行パターンを比較して解析中である。これをもとに、2つの餌場に複数個体が餌を探す状況で、どのように理想自由分布が現われるかをニューラルネット・モデルで解析している。これは、日本生態学会・松山大会(2007年3月)で堀部・嶋田の連名でポスター発表した。
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