昨年度に引き続き、おもに野外調査による餌内容の調査と、室内における行動観察をカエル類とクモ類を対象に実施した。カエル類については、沖縄島の各地で普通にみられるヒメアマガルを対象に野外調査を実施し、採集個体の胃腸内容物から本種がアリ類をはじめとする小型昆虫に特殊化した捕食者であることが明らかとなった。また本種の捕食行動に関する予備観察を実施した。ニホンアマガエルについては、室内条件下で2種の異なるアリをさまざまな組み合わせで与えて餌選好性を明らかにした。観察の結果、アマガエルは大型種を避ける傾向はあったものの、小型種に対しては明瞭な捕食選好性を示すことはなく、単一種のアリを与えた際にしめす捕食量の種間差とは必ずしも一致しなかった。また、これまでの野外調査から明らかになっていた野外では豊富に存在するにもかかわらずアマガエルに捕食されていないアリ類について、どのような形質によって捕食を逃れているのかを明らかにしようとした。野外では、蟻酸を持つ大型種や針・大型の突起を持つ種、および人間にも明らかに感知できる臭気を持つ種はほとんど捕食されていない。これらの防御形態を人為的に除去したアリを与えると、アマガエルは容易に捕食したことから、これらの形質が効果的な防衛に役立っていることが明らかになった。 ハエトリグモ類については、アオオビハエトリの捕食行動を昨年にひきつづき観察するとともに、本種のアルゼンチンアリ侵入地域における分布状況とアルゼンチンアリに対する捕食に関する観察結果を報告した。
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