研究課題
基盤研究(C)
相互作用する2種の共進化と軍拡競走という概念は、進化生物学の発展に大きく寄与したが、具体的な進化ダイナミックスとしての理論化、そして実証的な研究が遅れていた。申請者はショウジョウバエと寄生蜂の進化実験系における寄主抵抗性と寄生者の対抗形質の軍拡競走を示すデータにもとづき、軍拡競走の共進化動態の具体的なモデルを提出し(Sasaki and Godfray 1999)、植物と病原菌の遺伝子対遺伝子相互作用に関与する抵抗性遺伝子座と非病原性遺伝子座の共進化動態をモデル化するなど(Sasaki 2000, Sasaki et al 2002)、軍拡競走の理論的研究で主導してきた。本課題では、ツバキの果皮厚とゾウムシの口吻長の軍拡競走モデルを構築し理論的解析および、東樹と曽田(Toju and Sota 2006, Am Nat)による野外データとの比較検討を行った。口吻長と果皮厚が南方の集団ほど共に増大するという顕著な地理的クラインを、気候勾配によるツバキの生産力の違いが軍拡競走の共進化安定状態を決めるというSasaki-Godfray理論を拡張した理論で説明することを試みた。ゾウムシの口吻長にかかる非線形コストが共進化動態の安定性と、軍拡競争における平衡状態におけるゾウムシとツバキの優位性を決めることを見いだし、地理的クラインの諸特徴を説明した。またコストの非線形性指数がほぼ2であることを見いだした。成果は2006年日本生態学会年会シンポジウムの招待講演や学会誌の特集として報告したほか、Ecology Letters誌等に投稿準備中である。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (16件) (うち査読あり 3件)
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