研究課題
代表者らは、CSN(COP9シグナロソーム)がユビキチン・プロテアソーム系のタンパク質分解機構を調節して、核内情報伝達を制御することを報告してきた。一方、CSN1の過剰発現系・発現抑制系の詳細な解析から、タンパク質分解制御系のみで説明できないCSN制御機構の存在を提唱し、CSN1の機能部位と直接相互作用する因子群を動物培養細胞系より単離した。本課題では、CSN結合因子候補を手がかりに、植物で個体レベルの研究を展開し、CSNの新規機能解析をめざした。平成19年度の成果を中心にこれまでの結果を以下にまとめる。1.CSN結合因子候補のSAP130(spliceosome associated protein130)をコードする遺伝子が、シロイヌナズナに2コピー存在し、両遺伝子のmRNAが全器官で蓄積することを解明した。各々の発現欠損変異体の単離・解析の結果、一方の欠損による特定形態・形質の同定に至っていない。さらに両遺伝子の機能を同時に抑制する、RNAi植物、特定部位欠損過剰発現植物を作出したので、詳細な解析を進めている。2.CSN1がSAP130と直接結合することを動植物の系で明らかにした。この結合はCSN1のN末端を介しており、ヒトと植物の結合の異同を詳細に比較した。これをもとにCSN1-SAP130の結合部位に特異的に変異を導入した植物体を作製して、形質転換植物の詳細解析を行なっている。さらに、ヒトSAP130がCRLのcullinと結合してポリユビキチン化活性を保持することを明らかにした。3.複数の複合体間におけるSAP130の動態解明を目指し、植物個体でCSN1とSAP130に蛍光標識をつけ発現させた。各々、主な局在は核に認められ、刺激における動態解析を進めている。上記成果の一部は、国外・国内の学会発表し、さらに高い評価を受けている国際誌に論文発表した。
すべて 2008 2007
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件)
BMC Biochemistry 9
ページ: 1
The Plant Cell 20
ページ: 367-380
The New Phytologist (in press)
Plant Cell Reports 27
ページ: 575-584