研究課題
硬骨魚類の鱗を骨のモデルとしてとらえ、本研究費により、2006年度には、破骨細胞の分化に関わる遺伝子(NFATc-1)や機能遺伝子(TRAP, Cathepsin K, MMP-9)をキンギョの鱗からクローニングし、それらの遺伝子が鱗の破骨細胞で発現していることを報告した(Biochem Biophys Res Commun, 2007)。また、2007年度には、骨芽細胞の分化に関わる遺伝子(Runx2a, Runx2b, Dlx5, Osterix)や機能遺伝子(Collagen-l, ALP, Osteocalcin)を、キンギョの鱗からクローニングし、さらに、破骨細胞の分化に関わるRANKとRANKL遺伝子のクローニングに成功した。最終年度である本年度は、キンギョの鱗の培養系を用いて2002年に報告した、メラトニンが破骨細胞の活性を有意に抑制する(J Pineal Res)ことをもとに、破骨細胞に対するメラトニンの作用部位や作用機序を明らかにすることを目的とした。2006年度に確立した筋肉内へのウロコの自家移植(破骨細胞誘導)の系を用いて、血液幹細胞から単核の前駆破骨細胞への分化誘導時にメラトニンを投与する実験、単核の前駆破骨細胞から多核の成熟破骨細胞への分化誘導時に投与する実験、さらには多核の成熟破骨細胞が多数存在する時期にメラトニンを投与する実験を行った。その結果、多核の成熟破骨細胞で発現している機能遺伝子をメラトニンは抑制するだけでなく、破骨細胞の分化に関わるRANKとRANKLの遺伝子の発現に対しても抑制することにより、破骨細胞の分化も抑制することを明らかにした。さらに、メラトニンの膜レセプター(Mel-1a, 1b, 1c)をクローニングし(Comp Biochem Phys, 2009)、破骨細胞にメラトニンレセプターが発現していることを明らかにした。
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