研究課題/領域番号 |
18570057
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
笹山 雄一 金沢大学, 自然計測応用研究センター, 教授 (30018999)
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研究分担者 |
福森 義宏 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (60135655)
金森 正明 金沢大学, 自然科学研究科, 講師 (20324064)
松野 あきら 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (60032629)
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キーワード | Siboglinidae / マシコヒゲムシ / 化学合成細菌 / 共生 / 16S rDNA / in situ hybridization / 硫化水素 / 栄養体 |
研究概要 |
環形動物門Siboglinidaeのマシコヒゲムシにおける化学合成細菌との共生関係を明らかにする上で、本年は幾つかの基礎的な新知見を得た。まず、この細菌はエネルギーを得るための基質として硫化水素を必要とするが、それは全硫化物にして海底土壌中に0.5mg/gもあれば十分であること。この濃度は、魚の養殖池の土壌に比べると極めて低い値であることがわかった。また、これまで海底においてヒゲムシ類がどのように触手を出しているかは、想像の域をでなかったが、本研究において世界で初めて生態写真の撮影に成功した。これらの結果は、Zoological Science誌に掲載される。 共生細菌は、ヒゲムシの体の後半部にある栄養体のバクテリオサイトに棲むことが電子顕微鏡による研究で知られていたが、栄養体の中でバクテリオサイトがどのように分布するかは不明であった。我々は、共生細菌の16S rDNAの配列を明らかにしてDDBJに登録(AB252051)し、この配列を基にRNAプローブを作成し、ホールマウントin situハイブリダイゼーションを行った。その結果、バクテリオサイトは栄養体において腹血管より背血管に向けて左右に立ち上がる羊歯の葉状の構造を取る事が明らかになった。これらの結果は、スエーデンのActa Zoologica誌に掲載される。 さらに、本種の共生細菌の16S rDNAの塩基配列を詳細に調べると、ガンマープロテオバクテリアに属し、97.5%以上の相同性を有するが、少しずつ塩基が異なる7つのphylotypeがあることが明らかになった。それらは1個体には1つのタイプしか共生せず、感染の初期と想像されるが、何らかの機構によって共生する細菌は厳密に選択されることが明らかになった。これらの結果は、Microbes and Environments誌に掲載される。
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