CT細胞で発現している特徴的因子について解析するため、サプレッション・サブトラクティブ・ハイブリダイゼーション法により半網羅的解析を行った。その結果、複数出たものには、CTやCGRPの他に、上皮細胞に特徴的とされるケラチン、カルシウム結合タンパク質のictacalcinや細胞の裏打ちタンパクに結合するとされるprotein 4.1などが認められた。その中で、比較的多く得られた分泌性糖タンパク質のclusterinについて解析を進めた。RT-PCRにより、clusterinは解析した全ての組織で発現しているものの、鰓後腺で多く発現していることが予想された。さらに抗ペプチド抗体を作製し、免疫組織化学を行った結果、鰓後腺全体で染色が見られたが、特に濾胞に面した鰓後腺細胞のアピカル側の形質膜に強く発現が認められ、濾胞内にも貯留していると考えられた。 サプレッション・サブトラクティブ・ハイブリダイゼーション法では、転写因子は得ることができなかったが、私はニジマス成魚鰓後腺由来cDNAライブラリーからNkx2.1d、Pax1およびFoxF1が存在することを示した。また2004年に、ラット甲状腺C細胞由来細胞株CA77でFoxA2(HNF3 beta)がUSF-1や-2と共にCT遺伝子の発現調節を促進させると報告されたものの、活性促進能はそれほど高くない。そこで、in vivoのCT細胞でFoxA2もしくはそれに類似したFoxの遺伝子が発現しているのか調べるため、ニジマス成魚鰓後腺由来cDNAライブラリーを用いてcDNAクローニングを行った。その結果、FoxA1、FoxA2、FoxC1a1という3種類のcDNAが得られた。
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