研究概要 |
本研究では,下垂体の黄体形成ホルモン(LH)細胞の合成と放出のバランスを取る分子メカニズムを明らかにする。そのため,ヤマメの下垂体初代培養系とマウスのLH産生株化培養細胞を材料として単一細胞レベルで解析を行う。H18年度では,サクラマスの下垂体初代培養細胞を溶血プラークアッセイ用チャンバーで培養し,その中の単一LH細胞を,溶血プラークを作らせることによって同定した。また,LH放出活性を測定するための培養条件を検討した。対照としてサクラマスのプロラクチン(PRL)細胞の同定と放出活性の測定も行い,PRLの放出レベルに比べてLHの放出レベルが低いことが分かり,単一LH細胞の放出レベルが季節もしくは性成熟の段階に応じて大きく変化することが示唆された。 また,単一LH細胞のLH合成活性を測定するため,αサブユニットとLHβサブユニットのmRNA定量系をリアルタイムPCR法を用いて確立した。現在のところ,最小検出感度は約100コピーであり,単一細胞中の両サブユニットmRNAの定量には十分の感度を持っていた。また,遺伝子の転写活性を測定する系として,両サブユニットのヘテロ核RNAを検出するリアルタイムPCR系を検討した。単一細胞のヘテロ核RNAの測定には最小検出感度に近いレベルでの精度のよい測定が必要であることが分かり,より精度よく安定して測定できるようにさらなる条件検討を行うことが必要である。
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