研究課題/領域番号 |
18570060
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
安東 宏徳 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (60221743)
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研究分担者 |
服部 淳彦 東京医科歯科大学, 教養部, 教授 (70183910)
西村 正太郎 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教 (70237725)
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キーワード | 黄体形成ホルモン / 単一細胞 / 下垂体 / 遺伝子発現 / ホルモン分泌 / サクラマス / 生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン |
研究概要 |
下垂体LH細胞のLH合成と放出は視床下部ホルモンである生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)によって調節されている。本研究の目的は、LHの合成と放出のバランスを制御する分子機構を単一細胞レベルで解明することである。昨年はサクラマスの単一LH細胞におけるLHの合成と放出の活性を測定する系を確立した。本年度は、サクラマスを3月(非産卵期)と8月(産卵期前)にサクラマスを採集し、性成熟段階の異なる魚におけるバランス制御系の機能の違いを調べた。また、それらの細胞を差次的に用いて、ディファレンシャルディスプレイ(DD)法によりバランス制御に関わる新規の遺伝子の探索を試みた。 溶血プラークアッセイによって同定されたLH細胞の数は、非産卵期の魚は産卵期前の魚に比べて少なく、放出活性が低かった。また、リアルタイムPCR法によって測定したLHβサブユニットのmRNAも非産卵期では低かった。しかし、GnRHに対する反応性を調べると、非産卵期ではGnRH投与により放出と合成の活性が上昇したが、産卵期前では放出は高まったが合成は変化しなかった。性成熟が進行しつつある非産卵期のLH細胞では合成と放出の両方がGnRHにより刺激されるが、産卵期前ではLHβサブユニット遺伝子の発現調節に関わる細胞内シグナル伝達系のGnRHに対する応答性が変化することが示唆された。次に、DD法の一つであるGeneFishing法を用いて、両時期のLH細胞の間で発現量の異なる遺伝子の探索を行ったが、これまでのところ候補遺伝子は得られていない。使用した任意プライマーの数が少ないためと考えられる。
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