研究課題
クロマチン構造におけるリンカーヒストンH1の重要性は明らかなものの、複数存在するヒストンH1変種群の機能は不明である。特に、花粉発生過程ではヒストンH1変種群の量的・質的変動が大きいことが知られている。そこで本年度は、雄性配偶子形成過程におけるヒストンH1群の機能を明らかにするために、テッポウユリのヒストンH1遺伝子群を単離し、それらの発現解析を行うとともに遺伝子導入によるクロマチン構造への影響を調査した。まず、植物のヒストンH1遺伝子の保存性の高い塩基配列を手がかりに、テッポウユリのヒストンH1遺伝子の単離を試みた結果、3個の新規遺伝子が得られた。次に、すでに得られていたヒストンH1様遺伝子(p35)と併せて、それらの花粉発生過程における発現を解析したところ、4種はいずれも異なる発現パターンを示した。特に、H1-1は花粉発生後期にその発現量を大きく減じるのに対し、p35は逆に二細胞性花粉期からその発現を増すことがわかった。p35は二細胞性花粉内の雄原核に蓄積することから、そのヘテロクロマチン化と関わると推察されている。一方、H1-1の発現停止はユークロマチン化する栄養核におけるヒストンH1の選択的現象と関連づけられた。そこで、両者の遺伝子をレポーター遺伝子と連結し、パーティクルガン法によってタマネギの表皮細胞に導入したところ、p35はH1-1と異なり、核内で特別な局在分布がみられ、ヘテロクロマチン化の機能が期待された。
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Plant Physiology and Biochemistry (印刷中)
Sexual Plant Reproduction 20
ページ: 27-33