研究課題
基盤研究(C)
キャッチ結合組織を硬くする2種類の物質が、普遍性をもつかを検討した。1つは結合組織の細胞外成分に直接効く硬化因子タンパク質tensilin、もう一つは、神経ペプチドNGIWYamideであり、これは神経の末端から分泌され、硬化因子の分泌に作用すると思われるものでる。(1)樹手目ナマコから、Trotterたちはtensilinというタンパクを報告しており、彼らはこれがナマコ真皮の硬化因子であると主張している。そこで異なる目(楯手目)のニセクロナマコにも同様な硬化因子が存在するかを調べたところ、確かに分子量もアミノ酸配列も、ほぼtensilinと同様なタンパクが存在した。tensilinの効果を詳しく調べたところ、このタンパク質は軟化した真皮を標準状態まで硬くするが、標準状態からさらに硬化状態まで硬くすることはなかった。よってナマコキャッチ結合組織の硬化は、2段階で起こるというわれわれの主張が確かめられ、tensilinは「軟→標準」の段階にのみ作用することが分かった。ナマコ真皮抽出物の中に,「標準→硬化」を引き起こす、新たなタンパク質があることが分かった。これの分離精製を現在進めている。(2)われわれはマナマコから神経ペプチドを4種類単離している。それらが他の棘皮動物にも存在し、結合組織の硬さ支配に関わっているかどうかを調べた。まず、イトマキヒトデにおいてNGIWYamideの効果と分布を調べた。NGIWYamideはヒトデの管足に収縮を引き起こした。NGIWYamideの抗体は、ヒトデの放射神経や管足神経を染めた。以上の結果は、このペプチド(もしくは類似のもの)がヒトデの神経においても働いていることを強く示唆している。現在、もう一つの神経ペプチドstichopinについて検討しているところである。
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