研究課題
先にショウジョウバエの糖細胞に導入を試みたアポトーシス遺伝子p53の効果がほとんど見られなかったため、今年度前半では別のアポトーシス遺伝子rprの導入を試行した。その結果、行動学的解析で蔗糖に対する嗜好の低下したハエを得ることができた。しかし、得られたハエの味覚器についてPCR法を用いて検討すると発現遺伝子について正常なハエとの差が認められなかった。この結果はアポトーシスの利用価値を完全に否定するものではないが、非常に困難な計画であることを示している。そこで、年度の後半よりGFPを糖細胞に限定導入・発現させたショウジョウバエを準備して、その糖細胞と他の細胞についてディファレンシャル・ディスプレイ法を行う計画を実行に移した。現在までに細胞を単離し、単細胞PCRまでを可能にしたが、ディファレンシャル・ディスプレイ法を行うまでには至っていない。引き続き検討中である。一方、クロキンバエを用いて、苦味物質による糖応答の抑制や、苦味細胞の情報変換機構について主として電気生理学的な解析を本格化した。苦味物質の情報変換機構はG蛋白質の支配するIP3をセカンドメッセンジャーとするという結果を得た。苦味物質による糖応答の抑制について解析する過程で、苦味細胞の情報変換に一酸化窒素(NO)が関与することを見出したが、これは以前に報告した糖細胞におけるNOの関与と呼応する興味深いものであった。現在2種の細胞間の情報伝達も視野に入れて、解析を進めようとしている。またクロキンバエを用いた研究から、ハエにおける味覚嗅覚連合学習の解析も本格化させた。まず、その条件付け法を整備して長期記憶の現象であることを確定したが、その方法を用いて学習成立にともなって活性化する複数の遺伝子の存在を見出した。これらの遺伝子についてはさらに今後、詳細な検討を加えていく予定である。
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Comparative Biochemistry and Physiology -Part a : Molecular & Integrative Physiology(電子版) doi : 10. 1016/j. cbpa. 2009. 03. 004
Neuroscience Letters 446
ページ: 36-39