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2007 年度 実績報告書

昆虫の自動クリーニングシステム

研究課題

研究課題/領域番号 18570069
研究機関岡山大学

研究代表者

酒井 正樹  岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (30027502)

キーワードコオロギ / 生殖器 / クリーニング / 精包 / 膜 / うろこ / セロトニン / 運動ニューロン
研究概要

雄コオロギの最終腹部体節にある生殖器は,その内部が常時自動的にクリーニングされている。このしくみを明らかにするため,これまで生殖室の床を構成する膜の表面を調べたところ,小さな鱗(10um)を敷き詰めた構造となっており,それが正中線を挟んで左右対称に配列されており,鱗の流れに沿って行くと,生殖室の両隅にあるゴミ箱(側方嚢)に向かっていることが明らかになった。本年度は,この膜の蠕動運動のしくみを解明するため,おもに電気生理学および免疫抗体組織法を用いて研究した。まず,膜を裏打ちしている多数の筋繊維の走行をメチレンブルー染色し,光学顕微鏡で観察したところ,各々の筋繊維は表面の鱗の方向と平行していることがわかった。また,膜の蠕動運動によって微小なしわが寄ると同部の鱗が大きく逆立つことが判明した。これは筋繊維と鱗の並列配置のため,しわが鱗の方向と直角に生じることで説明できる。一方,筋繊維はすべて神経支配を受けており,主軸索からスパイク活動を記録したところ,運動ニューロンは4つあることがわかり,コバルトによる逆行性染色で細胞体をマークしたところ,最終腹部神経節側方部に4つ同定できた。そこで,膜の一部を切り出しリンゲル液中,膜に生体アミンのセロトニンを投与(10^<-2>M)した。すると自発性のぴくつき運動の頻度が増大し,セロトニンの拮抗剤のミアンセリンの投与は逆に頻度を低下させた。一方,オクトパミンでは変化がなかった。最後に,膜と最終腹部神経節をセロトニン免疫蛍光抗体で染色したところ,4つの運動ニューロンのうちの1つだけに陽性反応が現れた。これらより膜の蠕動運動の制御にセロトニンが関与していることが明らかになった。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] Genitalic auto-grooming in the male cricket, Gryllus bimaculatus DeGeer2008

    • 著者名/発表者名
      M Kumashiro, M Iwano and M Saka
    • 雑誌名

      Acta Biologica Hungarica (印刷中)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] フタホシコオロギの生殖器で見つかった自動ゴミ処理システム2007

    • 著者名/発表者名
      熊代樹彦・酒井正樹
    • 雑誌名

      比較生理生化学 24

      ページ: 54-61

    • 査読あり
  • [学会発表] Genitalic auto-grooming in the male cricket, Gryllus bimaculatus DeGeer2007

    • 著者名/発表者名
      M. Kumashiro, M. Iwano and M. Sakai
    • 学会等名
      11th Symposium on Invertebrate Neurobiology
    • 発表場所
      Tihany, Hungary
    • 年月日
      20070825-29
    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [学会発表] The male cricket is equipped with the cleaner and trash containers in the2007

    • 著者名/発表者名
      Masaki Sakai and Mikihiko Kumas
    • 学会等名
      Eighth International Congress of Neuroethology
    • 発表場所
      Vancouver
    • 年月日
      20070722-27
  • [学会発表] 雄コオロギの交尾と性周期に関係した頭部神経節の下行性介在ニューロンの活動2007

    • 著者名/発表者名
      岡山熊代樹彦・酒井正樹
    • 学会等名
      日本動物学会第78回大会
    • 発表場所
      弘前
    • 年月日
      2007-09-22
    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [学会発表] 雄コオロギ生殖器の自動清掃に関わるセロトニン作動性運動ニューロン2007

    • 著者名/発表者名
      熊代樹彦・岩野正晃・酒井正樹
    • 学会等名
      日本動物学会第78回大会
    • 発表場所
      岡山
    • 年月日
      2007-07-06
  • [学会発表] Reproductive timer underlying l hour-sexual refractoriness in the male cr〓2007

    • 著者名/発表者名
      Masaki Sakai, Masakatsu Ureshi,
    • 学会等名
      日本比較生理生化学会第29回大会
    • 発表場所
      岡山
    • 年月日
      2007-07-06
  • [学会発表] 雄コオロギの闘争性と求愛行動の関係2007

    • 著者名/発表者名
      小川裕理・酒井正樹
    • 学会等名
      生物系三学会中国四国支部大会
    • 発表場所
      鳥取
    • 年月日
      2007-05-19
    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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