本研究では、高度にバナジウムを濃縮するスジキレボヤのバナジウム結合タンパク質Vanabinについて、Vanabin2の金属結合部位の解明、SS結合の構造安定化および金属結合に対する寄与の解明、バナジウムの酸化還元反応と生理機能の解明を目指して、以下の研究を実施した。 1.Vanabin2の金属結合部位と予想されるアミノ酸に変異を導入した種々の変異体を作製した。得られた変異型Vanabin2の金属選択性・親和性をHummel Dreyer法によって調べたところ、バナジウム結合能が大きく変化するアミノ酸残基を見出した。 2.Vanabin2を還元剤メルカプトエタノールとDTTおよびTCEPで処理した場合、それぞれ決まった濃度範囲で複数の中間体が観察された。 3.Vanabin2の9対のSS結合の、金属結合能および構造安定化に対する寄与を調べるために、一連のセリン置換変異体を作成した。N末端側から6対のSS結合を欠損したSSm1-6変異体は非常に断片化しやすく、特に5番目のSS結合が構造の安定化に関わっていることが示唆された。 4.スジキレボヤGSTタンパク質(AsGST)の金属選択性とpH依存性を調べた。pH4.5においてAsGSTは鉄、銅、バナジウムと特異的に結合することがわかった。
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