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2008 年度 実績報告書

行動補償の神経基盤 ー神経系の可塑性についての研究ー

研究課題

研究課題/領域番号 18570072
研究機関愛媛大学

研究代表者

加納 正道  愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (80183276)

キーワードコオロギ / 空気流感覚 / 尾葉 / 逃避行動 / 行動補償 / 可塑性 / 巨大介在神経
研究概要

これまで申請者は、片側尾葉切除後のコオロギの空気流刺激に対する逃避行動、特に逃避方向の補償的回復には「歩行時に自分が作り出す空気流による残された尾葉への自己刺激が補償的回復必要である」という仮説をたて、それを実証してきた。昨年度はコオロギを静止歩行させ、それに対して人工の自己刺激空気流(偽自己刺激空気流)を与えながら飼育する装置を開発し、自己刺激の必要性を直接的に証明した。
本年度(平成20年度)は同様の装置を用い、歩行開始から偽自己刺激空気流を与えるまでの時間を変化させることにより(刺激遅延)、自己刺激空気流が逃避方向の補償的回復に効果的に作用するために必要とされる時間的同調性について調査した。最終的な結論はまだ得られていないが、どうやら1秒程度の刺激遅延が境界らしく、それよりも長い遅延で刺激を与えた場合は、その刺激が自分の行動(歩行)により生じたものとは認識されない。詳細については継続的に調査中であるが、この結果はコオロギの神経系内で運動情報とその結果生じる感覚情報がどのように関連づけられ、処理されているのかを知るための重要な手がかりとなる。
一方、逃避行動の回復には片側尾葉切除後比較的早い時期(2-6日程度)に自己刺激空気流を経験することが必要であることがわかっているため(Takuwa and Kanou,2007)、その期間の巨大介在神経の機能変化について調査した。その結果、それら機能変化のあるものは切除後6日後までの早い時期に起こっていることが判明した(Kanou and Kuroishi,2008)。これは巨大介在神経の機能変化と行動の変化との関係を直接的に証明するものであり、今後の研究の土台となるものと考えられる。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Rearing under different conditions results in different functional recoveries of giant interneurons in unilaterally cercus-ablated crickets, Gryllus bimaculatus2008

    • 著者名/発表者名
      加納 正道
    • 雑誌名

      Zoological Science 25

      ページ: 653-661

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Functional recoveries of giant interneurons in early period after unilateral cercal ablation in the cricket, Gryllus bimaculatus.2008

    • 著者名/発表者名
      加納 正道
    • 雑誌名

      Zoological Science 25

      ページ: 931-936

    • 査読あり
  • [雑誌論文] コオロギの逃避行動と巨大介在ニューロン2008

    • 著者名/発表者名
      松浦 哲也
    • 雑誌名

      比較生理生化学 25

      ページ: 96-105

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 空気流刺激に対するコオロギの行動発現とその切替機構-遊泳・飛翔・歩行-2008

    • 著者名/発表者名
      松浦 哲也
    • 雑誌名

      比較生理生化学 25

      ページ: 147-155

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Effects of the delay of artificial air puff from the start of walking on the compensation of escape direction in unilaterally circus-ablated crickets2008

    • 著者名/発表者名
      田桑 弘之
    • 雑誌名

      Comparative Biochemistry and Physiology 151B

      ページ: 453-454

  • [学会発表] 歩行開始と自己刺激との時間的同調がコオロギの行動補償に与える効果2008

    • 著者名/発表者名
      田桑弘之・太田真司・加納正道
    • 学会等名
      日本比較生理生化学会第30回大会
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      2008-07-19
  • [図書] 知りたいサイエンス「昆虫はスーパー脳」第7章 「ゴキブリはなぜ捕まえにくい? 」2008

    • 著者名/発表者名
      加納 正道
    • 総ページ数
      185-216
    • 出版者
      技術評論社
  • [図書] 昆虫ミメティックスー昆虫の設計に学ぶ-第2編・第1章・第4節 「逃避行動の補償的回復と神経系の可塑性」2008

    • 著者名/発表者名
      加納 正道
    • 総ページ数
      111-118
    • 出版者
      エヌ・ティー・エス

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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