研究概要 |
これまで"形態"や、"核ゲノムや葉緑体ゲノムの複数箇所のDNA塩基配列比較"で遺伝的変異を明らかにすることができなかった日本産コンブ属植物の相違を客観的に検出することを目的に、ミトコンドリアDNAの全塩基配列を対象に比較を試みるが、そのために先ずは特定種マコンブの配列決定を行った。 北海道室蘭市チャラツナイ浜で採集したマコンブからtotal DNAを抽出し、ガラスビーズ法で精製してミトコンドリアDNAの全領域の塩基配列を決定した。なお、領域のPCRによる遺伝子増幅には、既知となっているヨーロッパ産Laminaria digitataのデータをもとにプライマーを設計して用いた。明らかになったマコンブのミトコンドリアDNAは環状の構成を示し、全塩基長は37,656bpであった。得られたシークエンス結果をもとに遺伝地図を作成し、L.digitata (塩基長38,007bp)のものと比較すると、3カ所のorfに違いが見られ、またL.digitataにだけ特異的に現れるorf (orf157)が1カ所認められたが、その他での構成に違いは見られなかった(Ribosomal RNA genes:3領域、Transfer RNA gene:25領域、Ribosomal protein genes (Small subunit:11領域、Large subumit:6領域)、NADH dehydrogenase genses:10領域、apocytochrome b:1領域、cytochrome oxidase genses:3領域、FO-ATPase genses:3領域、Sec-independent protein translocation pathway gene:1領域)。
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