研究課題
北海道(カムイワッカ湯、川湯温泉)、東北(蒸ノ湯、泥湯、蔵土御釜)、九州(塚原温泉、別府温泉)など強酸性温泉から珪藻試料を採集し単離培養を行った。これらの18SrDNA、rbcL、ITS1、ITS2の塩基配列を解析し、系統解析を行った。また、morphometricな方法にて、各地点から100個体群を計測し主成分分析をおこない、それぞれの個体群の形態的特徴の把握、および空間座標における分布を解析をした。また、米国よりPinnularia acidojaponica類似種のタイプ標本を取り寄せ、合わせて形態解析を行った。平成18年度に実施した研究結果と合わせると、Pinnularia acicojaponicaは18SrDNAを例にとれば、殻個体群間で最大で0〜8塩基の差異が認められた。一方、同じ極限的環境であってもP. valdetoleransや九州の硫黄谷温泉から得た個体群とは17塩基以上の差異が認められた。これらの個体群の形態的差異はわずかなものであり、その相違を客観的に示すことは従来の方法では困難であったが、主成分分析を行うことで、P. acidojaponicaは個体群間でギャップを伴うクラスターが認められないことが明らかとなった。これに対し、硫黄谷温泉や米国から得た個体群とはクラスター間に明瞭なギャップが認められた。人為的に容易に生殖を行わせることが困難な珪藻種において、個体群間における分子レベルの相違と形態クラスターとの関係をある程度把握できたことは意義があり、本結果は今後の珪藻の分布と種分化の研究において重要性をもつものと思われる。また、大涌谷産の個体群を用いて大量培養系を確立し、被殻内から物質を抽出することができた。精製には問題点がなお含まれるものの、Melosiraとは異なり、silaffin様タンパク質のバンドを認めることができた。
すべて 2007
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