研究課題
(1) 東北地方(福島県、宮城県、秋田県内の温泉)、中部地方(長野県内および富山県内の鉱泉および温泉)、九州(雲仙、別府)などの強酸性温泉および、それらに由来する河川から珪藻の採集をおこない単離培養を行った。(2) この試料を用い、光学顕微鏡により殻の形態変異を観察し、昨年度までに得た結果と合わせ主成分分析等の多変量解析により各個体群間を形態的特徴でクラスター化した。その結果、硫黄谷温泉、蒸の湯、アイオワ産の個体群は、他の個体群とはギャップをもって離れるクラスターを形成することがわかった。(3) これらの個体群には他の産地から得られた通常のPinnularia acidojaponicaに見られる特徴的な形質であるshort segmental bandsが存在しないことが明らかとなった。(4) SSU rDNA、ITS1〜ITS2領域、rbcLの塩基配列をダイレクトシーケンシングにより解析したところ、硫黄谷産の個体群は他の産地のPinnularia acidojaponicaおよびP. valdetoleransと比べ、明らかに相違する塩基は入れる箇所が多いことがわかった。さらに、恐山産の形態的にP. acidojaponicaとは明らかに異なるP. negoroiiおよびP. paralange-bertalotiiの塩基配列は、 P. acidojaponicaと全く同一あるいは、1塩基のみ相違していることが明らかになった。(5) P. acidojaponicaのタイプロカリティである大涌谷産acidojaponicaの大量培養に成功し、被殻からシラフィン様物質を中秋津することができた。また、この抽出物により珪酸の沈殿実験に成功した。
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Phycological Research 57(印刷中)
Journal of Biological Physics 34
ページ: 189-196