研究概要 |
クロララクニオン藻における二次共生後の植物化過程の理解を進めるため,細胞形態、微細構造、生活環等の多様性を調査するとともに、18SrRNA遺伝子に加えて、28SrRNA遺伝子やHSP90タンパク質等を用いた分子系統解析に着手した。これまで蓄積したクロララクニオン藻の未同定株のうち、2株(P329、RCC365)について細胞形態と微細構造の観察、タイムラプスビデオ撮影による生活環の観察を行なった。P329株についてはLotharella属の新種、RCC365株については、全く新しい系統群を形成する新属新種であると結論された。特にRCC365株はピレノイドを持たない初めてのクロララクニオン藻で、進化の過程でピレノイドを消失したことが推測された。また、18SrRNA遺伝子を用いた分子系統再解析において、既知のLotharella属が単系統でないことを見いだし、分類学的な再検討に着手した。 新たな分子種(HSP90,28SrRNA)を用いた分子系統解析のため、異なる系統群に属する5種より配列決定を行ない、イギリスのCavalier-Smith博士と共同で、クロララクニオン藻を含むケルコゾア全体の系統関係の解析に着手した。 クロララクニオン藻の宿主要素の祖先を探索するため、パラオ共和国と東京湾で採集を行なった。その結果、ケルコゾアに属すると思われる興味深い生物6株の培養株確立に成功した。 以前の研究で新種であることが判明していた株を、Bigelowiella longifila sp.nov.として正式に記載を行なった。
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