研究概要 |
(1)分類 富山湾産のボウズイカから再発見された2種のニハイチュウ(Dicyemennearossia, Dicyemennea brevisephaloides)の再記載をした。また、瀬戸内海産シリヤケイカから1種(Dicyema sepiellae)の新種を発見し記載した。 (2)共進化 ニハイチュウと頭足類との関係(宿主特異性や共進化)を明らかにするため、日本沿岸産の頭足類13種の系統関係とそれらに寄生する16種のニハイチュウについて、ミトコンドリアCOI遺伝子の塩基配列を明らかにした。現段階では、ニハイチュウ類の系統に関しては、アマダコ、イイダコ、マダコにみられる種どうしは、異なる宿主の間の種よりも近縁であり、頭足類と共進化してきたことが示唆された。その一方でコウイカやアオリイカにみられるニハイチュウ類はそれぞれ他の宿主にみられるニハイチュウ類と近縁であるなど、宿主を変えた可能性があることが示された。 (3)系統 ニハイチュウの前口動物内での系統関係をギャップ結合のタンパク質のイネキシン遺伝子のアミノ酸配列を明らかにし系統樹を作成して解析した。その結果、どの系統樹でも螺旋型卵割動物の系統に近いことが明らかにされた。 (4)進化 ニハイチュウのチューブリン、テクチン、およびキチナーゼ遺伝子のイントロンのサイズを調べたところ、いずれの遺伝子についても、そのイントロンの長さが動物にみられるイントロンの最小サイズであることが明らかになった。
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