研究概要 |
本年度7月および3月に、相良川河口、後良川河口、由布(西表島)、野底、底地、名蔵(石垣島)、億首川河口、慶佐次(沖縄本島)の各マングローブ林において、担子菌類子実体の発生調査を行うとともに試料収集が可能なマングローブ林において子実体の収集を行った結果、合計55点の新鮮な子実体を収集した。収集した子実体について肉眼的特徴を記載した後、乾燥標本を作製した。これらの乾燥標本について実体顕微鏡および微分干渉顕微鏡を用いて分類学的同定を行った。その結果、本年度中にAuricularia polytricha、Coriolopsis aspera, Haloaleurodiscus mangrovei, Hexagonia tennis, Hyphodontia gossypina, Phanerochaete sordida、Phlebia acanthocystis、Trechispora nivea、Tremellochaete japonicaなど17属24種を同定した。7月の調査において、これらのすべての種の子実体形成が認められた。しかし、同マングローブ調査地における3月の調査ではAuricularia polytricha、Coriolopsis aspera、Hexagonia tenuis、Phanerochaete sordida、Phellinus sp.Phlebia acanthocystisおよびTremellochaete japonicaの7属7種のみの子実体形成が確認された。また、収集した新鮮な子実体の一部を用いて多胞子分離を行った結果、21種25菌株を分離菌株として得ることができた。これらの菌株については純粋培養を行った後、液体窒素凍結保存を行った。また、新鮮子実体の一部についてはエタノール浸漬によるDNA抽出用試料を作成した。これらの試料8点および分離菌株10株よりrDNAを抽出精製し、ITS領域の塩基配列を決定した。
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