中国雲南省北西部の山岳地帯において、ハリガネキノリ属(Bryoria)および関連地衣類について、生育地調査を実施した。これによって収集した標本、および前年度までに収集した標本を使用し、雲南省および日本産ハリガネキノリおよび関連地衣類について分類学的検討を行った。日本から知られるフジキノリ(Bryoria lactinea)と、雲南と周辺の地域から知られるB。himalayanaを比較し、形態・二次代謝産物・生態における類似性を明らかにした。雲南のハリガネキノリ属の生育域および周辺域において出現する地衣類のうち、日本と共通する種に注目し、種内の系統的類縁関係を明らかにするための研究計画を立てた。また、近縁属のバンダイキノリ(Sulcaria sulcata)の、雲南における民俗的利用について初めて認めた。
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