研究概要 |
1.ブタとウシの精子と糖脂質アナログの結合実験 アルキル鎖の末端に単糖を持つ6種類の糖脂質アナログを付着させたプラスチックプレートに精子を加え、洗浄後結合精子数をカウントする、再現性の良い方法を開発した。この方法でも、ブタ精子はβガラクトースに、ウシ精子はαマンノースに最も多く結合した。また、先体反応を起こさせた精子の場合はブタ、ウシいずれもαマンノースに結合することも示した。 2.ブタとウシの精子・卵子間結合実験 従来哺乳類の精子は種特異的に卵子透明帯に結合し異種の精子は結合しない場合が多いとされてきた。本研究で、ブタとウシの体外受精の条件で交叉結合を調べたところ、異種精子も同種とほぼ同数結合するとの結果を得た。これは透明帯表面の糖鎖の分布を反映していることも確認した。 3.組換え体透明帯糖タンパク質の精子結合活性 バキュロウイルス/昆虫細胞系でブタとウシそれぞれの透明帯糖タンパク質三成分(ZPA,ZPB,ZPC)を発現させ、ウシとブタ精子への結合性を調べた。この発現系では高マンノース型糖鎖が付くため、ブタ、ウシいずれの組換え体もブタ精子に結合せずウシ精子に結合すること、三成分単独では結合せずZPBとZPCを共発現させたもののみ結合活性を持つことを明らかにした。 4.妊娠時に胎盤に発現する糖タンパク質の糖鎖構造 ウシの妊娠関連糖タンパク質の主要なN結合型糖鎖の構造を決定した。GalNAcを含む珍しい糖鎖であった。
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