研究課題
基盤研究(C)
小胞体膜上のIRE1は、N末側を小胞体内腔にC末側を細胞質に向けたI型膜貫通蛋白質で、内腔側領域で変性蛋白質の蓄積を感知する。活性化したIre1pは小胞体シャペロン遺伝子群の転写活性化因子HAC1のmRNAを特定の部位で切断し、スプライソソーム非依存のスプライシングを行うことでHac1pの翻訳を可能にする。この全く新しいスプライシングは、1)5'側と3'側の切断が独立に起こる、2)tRNAリガーゼが関与する、3)細胞質で行われる、などの特徴を持ち、酵母から高等動物まで広く保存されている情報伝達機構である。本研究では小胞体ストレス応答におけるIRE1経路、特にスプライソソーム非依存型スプライシング機構の構造的基盤の解明を目指した。平成19年度は平成18年度に引き続きIre1p細胞質領域の立体構造解析および立体構造変化の解析を行うとともに、Ire1p RNaseドメインとHAC1 mRNAとの相互作用解析、およびこれらの複合体の立体構造解析に取組んだ。また活性に重要な残基の変異体を作成し、立体構造変化の有無やRNase活性を確認した。Ire1p RNaseドメインとHAC1 mRNAとの間では安定な複合体が得られなかったため、NMRによる滴定実験を行うことで、RNA配列特異的な認識に関与するアミノ酸残基の同定を試みた。また種々の変異体を用いたRNA結合実験およびRNase活性測定を行い、その配列特異的なRNA切断機構の一端を解明することに成功した。
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