今回の我々の目的は大腸菌における複製開始時に関与する様々な蛋白質の構造解析を行い、その構造をもとに機能を調べることである。そこで我々は本年度に以下の項目を行った。 1.複製開始制御因子DnaAのドメインl-llのNMRによる帰属を行った。一部のアミノ酸を除きほとんどすべての主鎖、側鎖の帰属が完了した(Bio NMR assignment 2007 in press)。またDnaAのドメインll-lの立体構造をNMRを用いて解析した。さらには、DnaAのオリゴマー化部位の同定を行い、ドメインlが一本鎖DNAと弱いながらも結合することを見いだした。さらに立体構造をもとに変異体の作成を行い、一本鎖DNAの相互作用部位にあるGu21の変異体がDnaBのloadingを抑制することで、複製開始阻害を行うことが明らかになった(J.Biol.Chem.2007 in press) 2.細胞分裂の再活性化因子CedAと特異的に結合する配列をSELEX法で見いだした。これにより従来報告されている結合力より20倍ほど結合力が上昇した。今回の結果からCedAがその構造上のβシートを介して二本鎖DNAと結合することが初めて明らかとなった。(投稿準備中) 3.プライモソーム構成因子PriBと一本鎖DNA、またPriAとの相互作用をNMRを用いて調べ、PriBに対するDNA、PriAの相互作用部位を同定した。PriB-PriAの相互作用領域の同定はこれまで報告されていない。(投稿準備中) その他の項目に関しても現在解析中である。
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