研究概要 |
超好熱性古細菌Pyrococcus furiosus由来SRP RNAのhelix6のループ部分の立体構造をNMR法により決定した.helix6のGAAGループ部分は,既に報告しているGNRRモチーフとよく似た特徴を示した.GNRRモチーフでは,GとNの間で主鎖が折れ曲がり,NRRの塩基がスタッキングし,Gと最後のRが塩基対を形成する.既に立体構造を決定しているヒトのGAGGループと比較したところ,最後のGの塩基が副溝側に少し飛び出していることがわかった.これは,ループを閉じている塩基対がヒトではGC塩基対であるのに対して,P. furiosusではUG塩基対となっており,ループ内のGG塩基対とのスタッキングが小さいことが原因であると考えている.さらに副溝側に飛び出しているGはSRP RNAのhelix8と相互作用することがわかっており,P. furiosusのSRP RNAの立体構造形成において,このGが副溝側に飛び出すことによってhelix8と相互作用しやすくなっていることが示唆された. 安定同位体標識したP. furiosusのSRP19タンパク質の三重共鳴スペクトルの測定により,主鎖については約90%のシグナルを帰属することができた.化学シフト値を用いた二次構造解析から,2つのα-ヘリックスと3つのβ-ストランドを持ち,既に構造決定されている他の種のSRP19タンパク質とほぼ同じ二次構造を持つことが示唆された.さらに,NMRを用いてSRPRNAとSRP19タンパク質の相互作用を:解析したところ,SRP19タンパク質がSRP RNAのhelix6およびhelix8に結合することによって,立体構造の安定化が起こることが示唆された.
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