研究概要 |
本研究では, Pyrococcus furiosus由来のSRPのSドメインの立体構造解析およびその構成因子であるSRP RNAのhelix 6およびhelix 8, SRP19タンパク質の相互作用解析を行うことを目的としている. SRP RNAのhelix 6およびhelix 8を含むS-domain RNAとSRP19タンパク質の相互作用を高温下(55℃)で解析したところ, SRP19タンパク質の結合によってS-domain RNAの立体構造が安定化することが示唆された. SRP19タンパク質の結合によって,その結合部位から離れた部位の非ワトソンクリック型U:U塩基対が安定化されることが明らかとなった.よって, SRP19タンパク質の結合によるSRP RNAの構造変化は大きいものであると考えられる. SRP19タンパク質の結合によってSRP54タンパク質のSRP RNAに対する結合が促進されることから,今回観測された大きな構造変化によって, SRP54の結合部位が安定化していることが示唆される. 一方, SRP19タンパク質に結合する複数のRNAアプタマーの作成にも成功した.アプタマーの配列および予想される二次構造は,S-domain RNAのものとは大きく異なることがわかった.これらのRNAアプタマーとSRP19との相互作用を解析し,エントロピー変化の少ない,つまり構造変化の少ない相互作用を明らかにすれば,SRP19との結合に必須なRNAの形を明らかにすることができると考えられる.現在,そのアプタマーとSRP19タンパク質の相互作用をNMRで解析することを試みている.
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