研究概要 |
小胞繁留はゴルジ体を維持していく小胞輪送の調節を担っている過程の1つと考えられている。ゴルジ体における輸送小胞の繋留にはcoG複合体に代表される多量体複合体とcoiled-coil 構造を持つgolginファミリーが関係する。これらのタンパク質の消失はさまざまな程度のゴルジ体の分断を引き起こすことが報告されていて,繋留タンパク質がゴルジ体の構造維持に深く関与することが報告されている。一方,goiginファミリータンパク質golgin-84は同じファミリーであるCASPと共役してCOPI小胞の繋留に働くことがin vitroの解析から報告されている。我々は golgin-84とCOG複合体が免疫共沈することを見いだした。さらに、p115欠損細胞においてもCOG複合体とGCP 912/GM 130の免疫共沈が観察された。これらの観察はCOG複合体がgolginファミリータンパク質に結合してゴルジ体におけるゴルジ膜への繋留における小胞の受けてとして働く可能性を示す。しかしながら酵母two-hybrid法やin-vitroのpull-down解析では我々が明らかにしたp115とcog2の関係,と異なり, golgin-84とCASの両タンパク質はCOG subunitは直接的な相互作用は見いだせなかった。golginとCOGの間接的な相互作用の解析のためにgolgin-84とCASPのゴルジ体局在に必要なドメインをbaitにして酵母two-hybrid法により相互作用タンパク質の検索を行った。golgin-84はモータータンパク質であるKIF3との相互作用がみられた。一方,CASPは小胞体-ゴルジ体間のv-SNAREであるBetlとの相互作用がみられた。 golginファミリーおよびCOG複合体などの繋留タンパク質はSNAREとの相互作用が多数報告されており,CASPとBetlの相互作用について現在詳細に解析中である。
|