研究概要 |
IRBITはIP3レセプターのIP3結合領域にIP3と競合的に結合するが、これには、IRBITがリン酸化されていることが必要である。また、IP3と競合的に結合することから、細胞内でIP3濃度が低い時(非刺激時)には、IP3レセプターに結合しており、一度IP3濃度が上昇すると(刺激時)IP3によりIRBITがIP3レセプターから遊離されることが想像される。従って、IRBITの機能としては、非刺激時(IP3レセプターと結合した状態)と刺激時(IP3レセプターから遊離した状態)との2つの相で考える必要がある。 昨年度までに、非刺激じに、IRBITはIP3RのIP3感受性を低くし、IP3Rの閾値を調節していること、また、刺激時は、pancreatic Na+-HCO3-co-transporter(pNBC1)にIRBIT結合し、pNBC1を活性化することを明らかにした。IRBITとの結合が必須であることを明らかとした。本年度は、IRBITがIP3Rの下流で機能する分子として働く可能性を、更に検討するために、IRBITに結合する蛋白質の探索を行った。また、IRBIT欠損マウスの作製に着手した。そうしたところ、IRBIT結合蛋白質として、ubiqutin ligase, membrane trafficking regulators, poly(A)polymerase調節因子等、種々のクラスの機能分子が同定され、IRBITが極めて多彩な生理機能に関与する可能性が示唆された。
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