研究課題
(1)本研究では、接合誘導物質であるガモン1の糖鎖が、接合誘導活性に関与しているかどうかを調べる目的で糖鎖を欠くガモン1が接合誘導活性をもつかどうかを調べた。糖鎖を欠くガモン1を得るために2つの方法を行った。(1)N-結合型糖鎖とタンパク質との結合部位を特異的に切断する酵素であるGlycopeptidase F(GPF)によってガモン1を切断しバイオアッセイを行った。GPFにより、ガモン1の糖鎖が切断されることが示され、糖鎖を欠いたガモン1は、ConAカラムに結合しないことを利用して回収された。(2)大腸菌を用いたガモン1の大量発現系を構築し、発現したガモン1を用いてバイオアッセイを行った。大腸菌を用いた大量発現系は、これまでガモン1が不溶性となってしまうことから確立されていなかったが、今回シャペロンとの融合タンパク質を作製することにより、ガモン1を可溶性分画に回収することができた。(1)(2)の結果、いずれの方法でも、接合対形成はみられなかった。このことは、ガモン1の糖鎖は、接合誘導活性に必須であるという可能性を示唆する。本研究は、繊毛虫類の接合誘導物質としては唯一の糖タンパク質であるガモン1の糖鎖が接合誘導活性に関与しているかどうかを調べた点で意義深い。(2)野外で採集した稲株よりBlepharismaの株を得て、種を同定し、rRNA遺伝子とガモン1遺伝子を単離し、配列を調べた。形態から推定したBlepharismaの種間関係は、遺伝子から見た種間関係とは必ずしも一致しないことがわかった。これはBlepharismaの種の分岐過程を考察する上で興味深い。また、本研究でBlepharismaの1〜10個の少数の細胞からPCRにより遺伝子を単離する方法を確立した。
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