研究課題
A.PKAホモログ触媒サブユニットの酵素学的諸性質の検討真核微生物のPKA触媒サブユニットのアミノ酸配列を用いたホモロジー検索により、PKA触媒サブユニットとして機能している可能性が高いと考えられるM.xanthusの2種類のSer/Thrプロテインキナーゼ(StkA、StkB)を選択し、無細胞タンパク質合成システムを用いてそれぞれのタンパク質の発現を行った。精製したStkA、StkBを用いて酵素学的諸性質の検討を行った結果、StkAはPKAの特異的基質であるKemptideを最もよい基質とし、また、PKAの特異的阻害剤であるPKI5-24で活性の阻害がみられた。そのKm値及びKi値は真核微生物のPKAで報告されている数値と同程度で、StkAはPKA触媒サブユニットとよく似た酵素学的諸性質を有していた。次いでPKA調節サブユニットのホモログタンパク質であるM.xanthusCbpBタンパク質を用いて、StkAとの相互作用を酵素活性の測定、タンパク質のリン酸化反応及びゲルろ過カラムにて解析するとStkAとCbpBの間においてcAMP添加及び無添加条件下で相互作用がみられたが、StkA活性の低下はみられず、真核生物のPKAの酵素活性調節方法とは異なっていた。B.cAMP分解酵素の酵素学的書性質の検討M.xanthusには少なくとも3種類のcAMP分解酵素が存在する可能性を、遺伝子破壊株を作製し、その表現型を明らかにすることで既に示しているが、このうち、2つのcAMP分解酵素(PdeA、PdeB)を大腸菌で発現させ、その酵素学的諸性質を明らかにした。両酵素はcAMPのみを特異的に分解し、そのKm値は従来報告されている細菌のcAMP分解酵素のそれらに比べ、1/10以下であった。FeC12の添加により、酵素活性が上昇するなど、大腸菌で報告されているcAMP分解酵素と似た性質を有していた。
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Technical bulletin of faculty of agriculture, Kagawa University 59
ページ: 79-84