研究概要 |
1.Ser/Thrプロテインキナーゼ、SpkA、とPKA調節サブユニットホモログタンパク質CbpBとの相互作用について PKA触媒サブユニットの酵素学的諸性質を有するSpkAとPKA調節サブユニットホモログタンパク質であるCbpBを混合後、ゲルろ過カラムに通すとSpkAとCbpBが1:1で結合していることがわかった。また、CbpBがSpkAによってリン酸化されているかを調べると、CbpBはcAMP添加及び無添加条件下の両方でリン酸化を受けた。CbpBとSpkAをMgATP存在下及び非存在下で1時間置いた後、酵素活性を測定するとSpkAの活性阻害は見られなかった。MgATP非存在下で混合していた酵素では、CbpBの添加量の増加に伴い2-3倍SpkAの活性が増加した。これらのことから、SpkAとCbpBでは相互作用が見られるものの、酵素活性の調節機構は真核生物のPKAのそれとは異なっていた。 2.cAMP分解酵素の酵素学的諸性質の検討 M.xanthusが有する2つのcAMP分解酵素(PdeA, PdeB)を大腸菌で発現、精製させた酵素を用いて酵素学的諸性質を明らかにした。両酵素は3',5'-及び2',3'-cAMPを5'-AMPと3'-AMPにそれぞれ分解し、さらにアデノシンまで分解するといった今までに報告されていない基質特異性を有する酵素であった。また、両酵素はATP,ADPなど幅広い基質を脱リン酸化するホスファターゼ活性を有しており、それらのK_m値は、従前のよりもかなり低い値(数-10μM)を示した。
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