多彩な細胞内基質を有するCK2は、細飽周期特異的な標的分子をリン酸化することで、厳密にコントロールされた細胞周期進行に関与する事が予想されている。本研究では、細胞周期の特定の時間軸においてCK2によりリン酸化される「核内基質」を明らかにすると共に、CK2によるそれら墓質の機能制御の仕組みを解析することを第一の目的とした。CK2は触媒サブユニットであるalpha(αまたはα')と制御サブユニットbeta(β)溺がヘテロ4量体を形成するとholoenzymeとして最大活性を示す。本研究の成果では、1)各サブユニットは増殖刺激後すみやかに核内に移行し再集合するが、細胞内移行にはCK2としてのキナーゼ活性が必須であることを見出した。2)特定の細胞周期にCK2と相互作用する核内タンパクについて、二次元電気泳動法や抗体アレイによる解析を行った結果、従来よりCK2基質として知られているDNA合成酵素、RNA結合タンパク、転写因子、細胞骨格系タンパクの他、新たに、DNA複製開殆複合体形成やヒストン交換反応に関与するクロマチン制御タンパクが、CK2によるリン酸化により機能制御を受けている可能性を明らかにした。これらの結果から、CK2はDNA複製と密接に関連して起こるヒストン交換反応、ヌクレオソーム形成など、ダイナミックなクロマチンの構造変化とクロマチン機能制御に重要な役割を果たす可能性が示唆されている。現在は基質の内histone assembling proteinsとhuRNPsにフォーカスして細胞周期進行の時系列に沿った解析を進めており、CK2が正常な細胞周期進行の根幹を成すクロマチン制御機構に関与する役割について、重要な知見を得られると期待される。今後はさらに、CK2がいかに厳密に細胞周期進行や核の機能変化を調節するのか、生体調節の視点からも機能の仕組みを解明したい。
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