研究課題
基盤研究(C)
1.光化学系IIにおける第一キノン受容体Q_Aと第二キノン受容体Q_Bの構造と機能の関係を調べるため、様々な水素結合構造を持つプラストキノンと水分子の水素結合複合体をモデル化合物として用い、中性プラストキノンとそのラジカルアニオン状態に対して、密度汎関数法による基準振動解析を行った。その結果、2つのケトC=Oへの水素結合の有無と水素結合構造の対称性が、中性及びアニオン型プラストキノンのCO伸縮振動の振動数と強度に大きく影響することが示された。それらの計算結果と、実測したQ_A^-/Q_A及びQ_B^-/Q_Bフーリエ変換赤外(FTIR)差スペクトルのCO伸縮振動領域の特徴から、Q_BがQ_Aよりも非対称的な水素結合構造を持つことが示唆された。このことはX線結晶解析のデータとも矛盾しておらず、この水素結合構造がQ_AおよびQ_Bの酸化還元電位の違いの主な要因の一つであることが示唆された。2.Q_Aの近傍に存在すると考えられる光化学系IIの小サブユニットpsbTの欠損株を用いて、Q_A^-/Q_A FTIR差スペクトルを測定した。その結果、psbT欠損株ではQ_A^-のシグナルが約1/5に減少し、また、Q_A^-生成の際のタンパク質コンフォメーション変化を示すアミドIIバンドが大きく変化していた。このことから、psbTサブユニットがQ_Aと間接的に相互作用しており、Q_Aの安定化に寄与していることが示された。このことは、プラストキノンの機能は、Q_Aが直接結合しているD2蛋白質のみで決定するのではなく、それを取り囲む小サブユニットも重要な役割を果たしていることを示している。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (8件)
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