研究概要 |
脊椎動物横紋筋には分子量が290〜370万の巨大な弾性タンパク質であるコネクチンが存在し,横紋筋のサルコメア構造を維持する働きをしている。また,無脊椎動物の横紋筋でも,節足動物の巨大サルコメアに存在するI-コネクチンやC.elegansに存在するCe-titinなど,いくつかのコネクチン様タンパク質が,その構造を維持する役割をしていることが明らかになっている。しかし,平滑筋や非筋細胞では脊椎動物,無脊椎動物ともにコネクチン様タンパク質が存在するという報告はなされていない。 そこで本研究では非横紋筋に存在するコネクチン様タンパク質を探索し,その働きを明らかにすることを目的とした。非筋細胞であるアフリカツメガエル卵のSDS全抽出物を電気泳動したところ,約3500kDaタンパク質が存在していた。そこで,このタンパク質の精製を試みた。カエル卵からゼリー膜を取り除き,60mMNaCl+10mMHEPES(pH7.4)の溶液で数回washした後,沈殿と同容量の100mMNa-PO4(pH7.0)の溶液で抽出した。この抽出液を,50mMNa-PO4(px7.0)で平衡化した陰イオン交換カラムにapplyした,そのflowthrough画分が3500kDaタンパク質の粗精製画分である。この試料を2〜6%のゲルで電気泳動して質量分析をおこない検索したものの,データベース上に一致する配列は見当たらなかった。このことから,カエル卵の3500kDaタンパク質は新規のタンパク質である可能性が高いことが分かった。現在,電気泳動したゲルから切り出したバンドを抗原として抗体を作製中である。抗体が出来しだい,受精卵や発生段階での局在観察,さらに一次構造の決定をして,非筋細胞における巨大タンパク質の構造と機能を明らかにする予定である。
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