S1法とNorthern blottingから、大腸菌RNase LS変異体でみられるadenylate cyclaseの過剰発現は、RNase LSがcyaA mRNAを標的とすることが原因であることを確認した。これとは対照的に、RNase Eの過剰発現はRNase LSによる直接効果ではなかった。そこで、rneの転写を促進する因子を網羅的に探索したところ、Fisが候補として浮上した。fis mRNAを標的とするRNase LSが欠損することによってFisが過剰生産され、その結果RNase Eの過剰生産が2次的に生じると予想される結果を得た。 RNase LSの活性促進因子を生化学的に同定するために、簡便なアッセイ系を開発した。この系では、必要な細胞抽出液を1/20に下げることができ、また反応時間や反応産物の解析に要する時間を大幅に短縮することが可能となった。また、RNase LS活性を抑制する効果をもつIscRはrnlAの転写を抑制する機能をもつことが強く示唆される結果を得た。 エンドリボヌクレアーゼ活性をもつRnlAと共にRNase LS活性に必須と考えられてきたRnlBは、予想に反してRnlAの阻害効果をもつことが明らかとなった。 T4ファージ感染後にRNase E(デグラドソーム)とRNase Gを活性化するNrdC.11について作成した抗体によるプルダウン実験を行ったが、相互作用する因子を探索したが、結合する因子は検出できなかった。したがって、NrdC.11はスタンドアローンで機能することが示唆された。
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