研究課題
基盤研究(C)
キイロショウジョウバエのEDG84A遺伝子プロモーター領域の配列で、近縁種間でよく保存されている転写開始点上流約140bp領域におよび上流100bpのエクダイソン誘導性の転写因子DHR3の結合部位に塩基置換を導入したEDG84Aプロモーター-LacZとの融合遺伝子を有するtransgenic fly系統を作成したところ、LacZの発現の低下がみられ、これらの領域がEDG84A遺伝子の発現に重要であることが示唆された。また、EDG84A遺伝子の発現時期を決める因子をコードするFTZ-Fl遺伝子の発現制御にエクダイソン誘導性で高エクダイソン時にのみ発現する転写抑制因子Blimp-1が重要な役割を果たすことを示した。以上のことおよび以前の解析結果から、EDG84A遺伝子は、非常に複雑な機構で時期および部位特異的発現が制御されていることが明らかになった。一方、通常染色体ペアリング依存的転写活性をおこすEDG84Aプロモーターを有するトランスポゾンおよび通常ペアリング依存的転写活性をおこさないEDG78Eプロモーターを有するトランスポゾン挿入系統を新たに作成し、transgeneの挿入位置の影響をトランスポゾンの挿入マーカーであるwhite遺伝子の目の色を指標として調べた。その結果、EDG84Aプロモーターを有するトランスポゾンでは15%の系統で依存的転写活性化がみられなかった。一方EDG78Eプロモーターを有するトランスポゾンでは、18%の系統でペアリング依存的転写活性化がみられた。以上のことから、ゲノムの中に染色体ペアリング依存的転写活性化を促進する領域と抑制する領域が存在することが示唆された。次にEDG84Aプロモーターを有するトランスポゾンの挿入位置を解析したが、挿入位置と遺伝子発現への影響の何らかの関係はみいだされておらず、未知の機構による制御が働いているものと推定された。
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