本年度は、小胞体とゴルジ体に局在する5回膜貫通タンパク質群FinGERのうち、FinGER3、FinGER4、FinGER5、FingER7の機能解析を行った。FinGER3、FinGER4はcis-Golgiに局在し複合体を形成する。RNAi法を用いて、FinGER3、FinGER4の発現抑制を行ったところ、FinGER3、FinGER4ともにRNAi処理後3日で顕著なタンパク質量の低下を認めた。また、FinGER3、FinGER4のタンパク質量低下と共にゴルジ体が断片化し、細胞質に分散することが明らかとなった。さらに、FinGER3のタンパク質量低下に伴って若干のFinGER4タンパク質量の低下が観察された。逆に、FinGER4タンパク質量の低下によって顕著なFinGER3のタンパク質量低下が観察された。興味深いことに、FinGER3のタンパク質量低下に伴って細胞の増殖阻害が引き起こされる事が明らかとなった。FinGER3、FinGER4が複合体を形成することから、FinGER3のタンパク質量低下に伴って複合体を形成しないFinGER4量が増加し、このことが細胞の増殖阻害を導いている可能性が考えられた。FinGER5は以前に酵母Yip1のほ乳類での相同タンパク質としてER exit sitesに局在することが報告されていた。FinGER5、FingER7に対する抗体を作成し、免疫蛍光染色法と細胞分画法によって詳細に解析を行ったところ、FinGER5、FingER7が小胞体とゴルジ体の中間区画(ERGIC)に局在することが明らかとなった。また、FinGER5とFinGER7が複合体を形成することも明らかとなった。RNAi法を用いて、FinGER5、FinGER7の発現抑制を行ったところ、FinGER5、FinGER7ともにRNAi処理後3日で顕著なタンパク質量の低下を認めた。また、FinGER3、FinGER4のタンパク質量低下時と同様にFinGER5、FinGER7のタンパク質量低下と共にゴルジ体が断片化し、細胞質に分散することが明らかとなった。さらに、FinGER7のタンパク質量低下に伴って若干のFinGER5タンパク質量の低下が観察された。逆に、FinGER5タンパク質量の低下によって顕著なFinGER7のタンパク質最低下が観察された。興味深いことに、FinGER7のタンパク質量低Fに伴って細胞の増殖阻害が引き起こされる事が明らかとなった。FinGER5、FinGER7が複合体を形成することから、FinGER3、FinGER4の場合と同様にFinGER7のタンパク質量低下に伴って複合体を形成しないFinGER5量が増加し、このことが細胞の増殖阻害を導いている可能性が考えられた。
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