1.RanBP2によるSUMO化活性と核内構造体形成の関係 独自に開発したin situ SUMOylationアッセイ法により、核膜孔タンパク質RanBP2は核膜孔でSUMO E3活性を発揮していることが明らかとなった。siRNAによりRanBP2をノックダウンすると、核膜孔におけるSUMO化活性が消失するとともに、PMLボディーの数が減少、核スペックルが形成不全、カハールボディーが核スペックル様に分布、傍核小体の形態が変化するなど様々な変化が観察された。よって、細胞質で合成されたタンパク質が核膜孔を通過する際に少なくとも一過的にRanBP2によりSUMO化され、それが核内で適切な場にターゲットされることに重要である可能性が示唆された。核小体、核膜、クロマチンなどには変化がなくRanBP2の欠損による変化は特異的なものである。 2.核スペックルの形成機構の解明 核スペックルは転写、RNAスプライシング、プロセッシング、輸送に関わる多くの蛋白質とpoly(A^+)RNAから成る複合体であるが、細胞内でどのように形成されているかは明らかでない。RanBP2を欠いたHeLa細胞においては、核スペックルの主要構成蛋白質であるSC35が核内から消失し、細胞質に斑状構造を形成していることがわかった。hnRNPA1、リン酸化型RNAポリメラーゼIIを含む、他の核スペックル蛋白質も同様に細胞質の斑状構造に局在するものの、poly(A^+)、ASF/SFII、hnRNPC1/C2、Y14などは通常通りに核スペックル様の分布をしている。よって、核スペックル構成因子が異なる機構で構造体に相互作用していることがわかり、今後、形成機構を解明する糸口となることが期待される。
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