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幹細胞の未分化維持機構及びその分化制御機構にはニッチェとよばれる微少環境が重要な役割を果たしていることが明らかとなっている。しかし多くの場合、生体内での幹細胞を同定することは容易ではなく、幹細胞及びそのニッチェも同定できていないまま、研究が行われていることが多い。ショウジョウバエの生殖幹細胞の系では、生殖幹細胞、及びニッチェが明確に同定でき、非常に魅力的な系を提供している。ハエの卵巣、精巣の先端にはそれぞれキャップ細胞、ハブと呼ばれる特殊構造が存在し、生殖幹細胞は通常これらの構造へのコンタクトが不可欠である。今回、我々はハブ以外のニッチェ構成要素であるシスト細胞が生殖幹細胞の維持に直接関与していることを見出した。さらに詳細に調べた結果、生殖幹細胞の維持に既知のシグナル、例えばJAK/STATシグナルあるいはBMP-Smadシグナルは生殖幹細胞の未分化維持に直接関与していることを我々などが明らかにしたが、それとは異なる新規の機構により維持されている可能性が極めて強くなった。現在も、さらにその詳細を明らかにすべく解析を進めている。またニッチェにおいて生殖幹細胞は競争的な状態であり、分化した生殖幹細胞は速やかにニッチェから追い出されることを見出した。さらにショウジョウバエでの生殖幹細胞ニッチェのコンセプトさらにその中にある厳密なシステムの構築の必要性などのを発展させ、ES細胞の未分化維持においても新たな知見を見出すことに成功した。
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