研究課題
前年度までに、polished rice (pri)遺伝子が複数のペプチドをコードし、アクチンネットワーク制御を介してショウジョウバエ幼虫腹部上皮にある歯状突起の形成に関与していることを明らかにしているが、その分子機構は不明であった。今年度はpriペプチドの分子機能を明らかにするため、歯状突起形成のマスター遺伝子であるshavenbaby (svb)に着目して以下の研究を行った。pri変異体においてsvbの発現を調べたところ、歯状突起が完全に欠損するにもかかわらず、svbの発現に変化は見られず、pri表現型はsvb遺伝子の下流でおこる何らかの現象に関与していると考えられた。次にsvbの標的遺伝子であるminiature, shavenoidの発現を調べたところ、発現の消失あるいは顕著な減少が観察され、svbによる下流遺伝子の転写制御にpriが必要であることが明らかとなった。svbは転写因子をコードしており、SVB,OVOA,OVOBの3つのアイソフォームが知られているが、priが表皮細胞に発現するSVBと特異的に相互作用することから、priとSVB特異的なドメインとの相互作用が、svb遺伝子による歯状突起の形成に必須であると結論付けられた。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)
Molecular and Cellular Biology 27
ページ: 8739-8747