研究課題/領域番号 |
18570203
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
嶋村 健児 熊本大学, 発生医学研究センター, 教授 (70301140)
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研究分担者 |
吉田 道生 熊本大学, 発生医学研究センター, 助教 (80305002)
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キーワード | 神経発生 / 細胞系譜 / 神経幹細胞 / 終脳 / パターン形成 / 領域特異性 / 比較発生学 / 前脳 |
研究概要 |
種問で著しい多様性を示す脊椎動物の大脳構造の比較発生学について、終脳正中に発現するFGF8の役割という観点から解析することを目標とした。艀卵3日目のニワトリ胚の終脳胞にドミナントネガティブ型FGFレセプターをエレクトロポレーション法によって導入した。導入後7〜10日艀卵すると、従来の方法では導入領域が検出出来ないという問題が生じたため、トランスポゾンを利用した発現ベクターによってGFP遺伝子を発現させ、目的のステージに至っても明確に導入領域を特定することが可能となった。現在までにこのような検体を多数得ている。マウスの大脳皮質で領野に対応して発現する遺伝子(カドヘリン、Eph等)、および層特異的に発現する遺伝子(Er81、Brn3等)はニワトリ終脳で部位特異的に発現することがわかっており、現在、これらのプローブを用いて終脳外套部の領域性の変化について解析中である。また、神経上皮細胞の増殖と分化のバランス制御という観点からマウスとニワトリの終脳を比較検討した。その結果、神経幹細胞の増殖パターンに両者で違いは認められなかったが、幼若神経細胞のもつapical突起の分布パターンに顕著な違いがあることを見いだした。これは神経分化様式が違う可能性を示唆しており、生体内での神経分化プロセスの可視化実験を準備中である。次に、前脳原基の細胞系譜解析について、Six3遺伝子座にCre-ERをノックインしたマウスの作製を継続して行った。凍結受精卵の状態で所属研究機関の動物飼育施設に輸送、仮親に移植して胎仔を得た。その後、順調にコロニーを拡大中であり、近々Flp発現マウスと交配して、遺伝子座に残存しているneoカセットを除去する予定である。解析の為に交配するレポーター系統の準備もあわせてすすめており、マウス作製に予想外の時間がかかったものの、当初の実験計画を遂行する予定である。
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