研究概要 |
Hyperplastic discs (hyd)は、アミノ酸配列の相同性からHECTドメインを持つ単量体ユビキチンリガーゼとして機能する事が推定されている.我々はショウジョウバエ変異体の解析から、hydがヒト疾患に重要な関わりを持つhedgehog(hh)およびdecapentaplegic (dpp)のシグナル伝達制御に重要な働きをしている事を既に報告した(2002, Lee, et. al.).本研究計画の最も重要な目標は、hydの活性に依存してユビキチン化される標的タンパク質を同定し、それによってhydがユビキチンリガーゼとしてhhシグナル伝達を制御する分子機構を解明する事である.標的タンパク質を単離・同定するための実験手法はyeast-two hybridスクリーニングおよびGST融合タンパク質を用いたin vitro結合実験である.第一段階として、hydがユビキチン結合酵素bendlessと特異的に結合することを確認し、その結合部位を同定した.次に、ホモロジー検索により推定されたhydタンパク質機能ドメインのうちUBAドメインおよびPABPドメインを用いてyeast-two hybrid screeningにより、いくつかの結合タンパク質候補を同定した.ユビキチン化標的タンパク質の結合部位としては、他にもhydタンパク質のほぼ中央部に位置するリングフィンガー型zinc finger領域が良い候補として考えられ、今回、さらにこの領域のスクリーニングを実施中である.既に、ショウジョウバエのIAP相同タンパク質がこの領域の結合タンパク質候補として同定され、細胞死の制御とhyd変異体表現型との関わりが示唆されている.今後、単離・同定されたユビキチン化標的候補タンパク質のhydの活性に依存的なユビキチン化および分解をin vitroで確認するとともに、hyd表現型と細胞死制御との関わりを検討する.
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