脊椎動物をはじめとする多くの動物にとって、内、中、外胚葉の3層からなる構造は、体を形作るための基本構造といえる。この3胚葉構造を作る重要な形態形成運動が原腸形成運動である。両生類胚、魚類胚などの原腸形成運動においては、中胚葉組織が収斂伸長運動とよばれる運動により外胚葉と内胚葉の間に入り込み、伸長しながら移動する。近年、膜輸送系がシグナル分子の細胞内情報伝達や、細胞極性の制御にも密接に関わっていることが明らかになりつつある。このことから、膜輸送系が原腸形成運動をはじめとする初期発生の形態形成運動の制御に関わるかどうかを検討した。本研究で注目したのはRabファミリーGTPaseである。Rab GTPaseは、数十種類のメンバーが知られている。これらは、小胞体からゴルジ体、細胞膜への輸送やエンドサイトーシスなど膜輸送過程のあらゆる段階で特異的な役割を果たしていることが知られている。我々は、原腸形成過程に必須のRab GTPaseであるRab40を同定した。このRabは、ゴルジ体に局在し、Cullinタンパク質とともにユビキチンE3リガーゼ複合体を形成していることを明らかにした。さらにこのリガーゼがRap2をユビキチン化することで局在を制御し、それがプロテインキナーゼMINK、Wntシグナル伝達因子Dishevelledを制御することにより原腸形成運動に必須の機能を果たしていることを明らかにした。
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