イネにおける胚発生のメカにズムを探求するために、胚発生のパターン形成に異常が見られる突然変異体、特に胚において器官数に増加が見られるものの解析を行った。イネaberrant regionalizaiton of embryo2(are2)は劣性の器官増加型突然変異体である。地上部は矮性で10日ほど成長しても草丈は2cmに満たない。また腋芽の伸長が盛んで、叢生となる。葉鞘の葉縁部には切れ込みが生じる。この切れ込みにより維管束が切断されていることから、切れ込みは維管束の分化後に形成されたものと考えられる。are2の胚は野生型に比べて発生が遅く、受精後5日を経ても明確な器官分化は見られない。その後、シュートと幼根を分化するが、多くの場合、複数のシュー卜・幼根が形成されるが、幼根数が増加する傾向の方が高い。器官の位置も異常であり、頂部側に幼根が形成される、あるいは背側にシュートが形成される等の表現型を示す。また同様に完成胚において器官数が増加する突然変異体multiple shoot 1 (msh1)についても解析しば観察されたが、成長を続ける個体はある程度緑色を取り戻し、矮性・叢生であった。葉鞘と葉身の境界が不明瞭という表現型も示した。またmsh1の原因遺伝子単離を目指し、インド稲カサラースとmsh1との交配を行った。
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