研究概要 |
分離集団を用いたマッピングによって推定されたUrl推定座乗領域において,塩基配列解読を行った。マッピングの結果より,最も近いマーカーと推定されたSSR12の近傍17.4kbに加え,その隣接領域を標的とした,SSR12の下流,6.2kbに加え,さらに下流のおよそ10kb(一部,'台中65号'とそのUrl同質遺伝子系統での比較)は解読が終了した.また,SSR12の上流11.2kbでは現在までのところ,およそ90%の領域で解読が終了した.これらの領域では,IR36とIR36のUrl同質遺伝子系統の間で,エキソン・イントロンを含めて多型は検出されておらず,インド型に特徴的な配列のみ認められた. 'ニシヒカリ'におけるUr1同質遺伝子系統において置換領域の推定を行った.これまでの結果に加え,新たにSSR26の下流が置換されていることが明らかとなり,以前の結果を合わせ,Urlはup85938とSSR26に挟まれる661kb内に存在することが示唆された.マッピングによって推定された領域はこの661kb内に含まれる.また,この領域には58遺伝子が座乗していることが示唆されている.この領域およびその周辺において86個のSSRマーカーならびに52個のINDELマーカーを設定し(4790bp/1マーカー),IR36とIR36のUrl同質遺伝子系統ならびにUrlの供与親であるN55の間で多型の比較を行った.全てのマーカーにおいて,IR36とIR36のUrl同質遺伝子系統の間での多型は検出されず,従って,置換領域を特定することはできなかった.マッピングでの推定領域における未解読領域ならびに,置換領域によって推定された661kb内において,上記塩基配列決定した枠外の遺伝子情報を精査し,候補遺伝子の塩基配列解読を進める必要があることを確認した.
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