本研究では、耐冷性に関係することが報告されている遺伝子の相同性遺伝子をダイズでクローニング・マッピングし、QTL解析で明らかになっている耐冷性に関連するゲノム領域と比較することによって、耐冷性候補遺伝子を同定することを目的とする。本年度は、ダイズ由来の低温シグナル伝達関連遺伝子SCOFIの多型検索、SCOFIと相同性の高いSCOFII(仮称)のクローニングとマッピング、イネで報告のあるCDPK7と相同性の高い遺伝子のクローニングとマッピング等を行った。さらに、トヨムスメ×ハロソイのF2集団でのSSRマーカーによる連鎖地図作成を連鎖群A1からF、Jの12連鎖群について行った。まず、SCOFIについて、耐冷性強品種ハヤヒカリと耐冷性弱品種トヨムスメでは多型はみられなかったが、トヨムスメとハロソイでは多型がみられ、F2集団でジェノタイピングを行った。しかし、現在まで構築されている連鎖地図上にはマッピングできなかった。SCOFIIとCDPK7については、ハヤヒカリとトヨムスメで多型がみられ、どららも連鎖群B2にマッピングされた。連鎖群B2には効果の小さい耐冷性QTLが検出されているが、位置が50cM以上離れているため、候補遺伝子としては、同定されなかった。そのほか、いくつかのMADS-BOX遺伝子やDREB遺伝子、オルタナティブオキシダーゼ遺伝子などと相同性をもつ遺伝子のクローニングを行ったが、多型が得られなかった、来年度は、連鎖地図の完成、さらに多くの耐冷性関連遺伝子のクローニング、マッピングを行うとともに、今年度他の研究において、ハヤヒカリで低温特異的に発現するタンパクを確認したので、その遺伝子のマッピングや、トヨムスメと耐冷性品種トヨハルカのRILで検出された新規耐冷性QTLの確認もあわせて行う。
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