大豆は栽培地域の緯度によって適応品種が異なり、最大限の子実収量を確保するため、それぞれの地域に適応した品種が栽培されている。大豆品種の早晩性は、遺伝子E1からE7によって制御されている。それらの遺伝子は低温による種皮の褐変と裂皮の発生を制御するが、E4は他の遺伝子と異なり劣性遺伝子型で種皮の品質を向上させるとともに莢数を増加させ、大豆品種を高緯度地域に適応させる上で有用である。本研究ではE4を単離・解析し、大豆の開花期制御および日長感応性の分子生物学的機構を明らかにする。三春大豆と坂本早生を交配して育成したE4に関する準同質遺伝子系統、および早晩性に関する分離集団(F_<10>)を供試し、SSRマーカーおよびAFLPマーカーを用いて多型解析を行った。多型データをMAPMAKER/EXP.ver.3.0で解析して、詳細な連鎖地図を作成した。4096組合せのAFLPプライマーを用いて準同質遺伝子系統間の多型解析を行ったところ、20マーカーで多型が認められた。分離集団(116個体)を用いてマッピングを行ったところ、20マーカーのうち16マーカーが連鎖しており、従来最も近傍に見いだされていたマーカー(Satt496およびSatt354)とE4との間に8個のマーカーが挿入された。E4は、最も近傍のAFLPマーカー(e48m41-8およびe18m38-8)とそれぞれ0.6cMおよび5.4cMの距離があった。E4のポジショナルクローニングを行うため、約700個体の分離集団を人工長日圃場で栽培して早晩性(E4の遺伝子型)を評価するとともに、各個体からゲノムDNAを抽出した。
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